フォルテールの基礎

 この章ではフォルテールという楽器の基礎、ならびにフォルテール譜面、基本的な演奏法について解説します。

フォルテールの構造

 フォルテールは大きく分けて協会よりもたらされるブラックボックスである本体、演奏に用いるキーボード、譜面を表示するモニタ、そして実際に音を出すための音響部分の4つからなります。本体に関しては我々は協会よりもたらされているものをそのまま使うのみであり仕組みに関しては未知のままですが(訳注:PC本体、OS、工画堂ミュージックアクションゲームのソフトウェアに相当)、ここに特殊な形状のフォルテール譜を読み込ませることにより演奏が可能になります。

 キーボードは演奏者からみたフォルテールの中心にあたり、演奏時に操作する最も大切なところです。また、これはピアノなどの鍵盤楽器を含む他の楽器とは大きく異なるところで、まさにフォルテールを特徴付ける箇所ともいうことが出来ます。キーボードは以下のようなものです。
フォルテールのキーボード
これらのキーボードは当音楽院で使用しているものですが、細かな形状、触り心地、弾き心地など様々なものが存在し、自由に使うことが出来ます。好みのキーボードを探すこともフォルテニストとしての活動の一環であり、また楽しみでもあります。
下のものは補助記号が書かれている練習用です。
フォルテール演奏では補助記号Zを左下にした白鍵の部分、横10列縦3段の計30キーを使用します。その他のキーは選曲や演奏前の調整などに使用するものです。
練習用の簡易モードであるNORMALモードでは特に中央のASDFJKL;の8キーのみを、EASYモードでは更にDFJKの4キーのみを使用します。ただし、当音楽院ではEASYモードは取り扱いません。

 モニタはフォルテール演奏に用いる譜面を表示します。後述しますがフォルテールの譜面は特殊な形態をしており、通常の紙などに書かれた静的なものではなく、動きを伴ったものになっています。

 音響部分はスピーカやアンプなどからなり、通常の音楽再生に用いるものがそのまま利用可能です。この部分も演奏者の好みに応じていろいろと付け替えてみることをお奨めします。

フォルテール譜とその読み方

 フォルテールの譜面は紙などに書かれたものではなく、フォルテール自身が画面に映し出す、動きを伴ったものになっています。
フォルテール譜面(C)工画堂スタジオ

 譜面はもちろん曲によって異なりますが、例えば「乙女達の冒険」の冒頭部分はこのようになっていて、五線譜の上をノートと呼ばれる音符が右から左へと一定速度で流れていきます。

中央より少し左寄りにある縦のライン(上に青薔薇の印があります)が演奏ラインです。ノートが丁度ここに到達したときに対応するキーを弾くと丁度良い演奏が出来るようになっています。上手く弾けると薔薇が一瞬赤くなり、ト音記号が大きく膨らみます。

画面一番左側はスコアと評価の表示欄です。うまく演奏が出来るとスコアと評価が上がっていきますが、いい演奏をすれば結果として高スコアになりますので、演奏時には気にする必要はありません。

 画面の上半分は背景であり、その曲に関連した画像や、歌い手、弾き手の姿などが映し出されます。演奏には基本的に関係ない部分です。

 では次にノートと弾くキーの関係を見てみましょう。
譜面とキーボードの対応(C)工画堂スタジオ

 ご覧の通り、五線譜には線上、線間と合わせて11ポジション分の表示が可能です。このうち最上段、並びに中央2段は使われることはなく、フォルテール譜は8段分のポジションにノートが流れます。それぞれのポジションは図のようにキーの横位置に対応していて、五線譜の下側とキーボードの左側、五線譜の上側とキーボードの右側が対応しています。ただし、キーボードの中央2列(TGB列、YHN列)はそれぞれその隣のRFV列、UJM列と同じポジションが割り当てられています。ノートは流れるポジションに応じて赤、黄、緑、青と色分けされています。

 このように同じポジションに段の違いでキーが3つ(中央は6つ)割り当てられているため、ポジション(と色)だけでは段の区別がつきません。そこで、どのキーを弾くのかを確定させるためにノートにはアルファベットによる補助記号が書いてあります。この記号を見ることにより弾くキーを確定することが出来ます。

 実際は曲中で段の切り替わりはそう頻繁に起こることではなく、フレーズの切り替わりで段が切り替わったり、特徴的な音に別の段が割り当てられていたりしますので、補助記号を見る必要はあまりありません。どの段で弾けばいいのか分からなくなったときなどやむを得ない状態に陥ってしまったときのみ確認のため気にすれば十分です。

 なお、ご覧の通り下(左)4ポジションは左手の小指〜人差し指、上(右)4ポジションは右手の人差し指〜小指で弾くのが基本ですが、決まりではないのでノートの配置次第で弾きやすいやり方で弾いて構いません。中央2列は対応する人差し指で弾くのが基本的です。

フォルテールの演奏法

 譜面を読む事が出来るようになったら、あとはノートが演奏ラインを通過するタイミングでキーボードを弾けばフォルテールは目的の音を奏でます。同じキーで異なる音が出せることがフォルテールの大きな特徴のひとつですが、どの音を出すのかという情報は譜面自体に盛り込まれているため、演奏者が気にする必要はありません。

 フォルテール譜面はだいたい弾くフレーズに合わせた形にノートが配置されているため、弾く曲、弾くフレーズをしっかり把握してそれを弾こうと志せば、演奏ラインによるタイミング合わせも補助的に使うだけで目的のフレーズを演奏することが出来るようになります。例えば画面の例であれば、(ト音記号に重なって最初のノートが存在していることに注意して)ノートの配置の形から「乙女達の冒険」のメインメロディの冒頭のフレーズが想像できると思います。次にどんなノートが来そうか、ということまで分かればフォルテニストとしてのセンスは十分にあるといえるでしょう。


 フォルテールの弾き方は自由ですが、以下特に推奨する弾き方について説明します。

 まず、左手の人差し指は補助記号Fの位置に、右手の人差し指はJの位置に置き、その他は横一列に配置します。殆どのキーボードはこのFJの位置に突起があり、触るだけで分かるようになっているかと思います。この状態で指はASDF JKL+の位置にあることになります。その状態で指は軽くキーに触れるか僅かに浮いている程度、手首は下に付けずに手の甲がだいたい水平になるくらいに浮かします(支えが必要なら上腕部分を下に付くようにしてください)。この状態をホームポジションと呼びます。この状態がフォルテール演奏時の基本ですので、待機状態のときは自然にこの状態になるように心がけてください。

 ではホームポジションのまま左手小指から順にASDF JKL+とゆっくり弾いてみましょう。上の写真のように英語キーボードと呼ばれるキーボードを使っている方はキートップには+ではなく「;:」と書いてあると思いますが、以後+キーといったらこの「;:」キーのことだと思ってください。うまく指が動いたら次は逆に+LKJ FDSA、また1つおきにADSFDJFKJLK+、右手左手交互にAJSKDLF+DLSKAJ、などいろいろ弾いてみてください(音は出ませんが)。なお、NORMALモードではこの8つのキーしか使わないため、基本的にホームポジションから移動することはありません。

 さらに、同時押しの練習をしてみましょう。フォルテールでは基本的にごく一部の例外を除いて右手のみの同時押し、左手のみの同時押しはありません。殆どが右手と左手1音ずつの組み合わせになり、しかもさらにその大半が同位置(左手薬指と右中指など)で占められています。ではまず左手小指のAと右手人差し指のJの同時押し(以後(AJ)と表記)を弾いてみてください。慣れないうちはなかなか同時に弾けたと感じられないかもしれませんが、頑張りましょう。同様に(SK)、(DL)、(F+)も試してみてください。全部出来たら(AJ)(SK)(DL)(F+)と同時押しの階段を、また逆に(F+)(DL)(SK)(AJ)も練習します。最後に(A+)などそれ以外の組み合わせも確かめておきましょう。

 次に、手の形を保ったまま手首ごと全体を1段上げて(実際は少し斜めになっているのでちょっと左上に移動して)、指がQWER UIOPの位置に来るようにしてみましょう。この位置を上ホームポジションといいます。同様に1段下げてZXCV M<>?の位置に置いたところを下ホームポジションといいます。これら2つ、またその組み合わせで左手は下段、右手は上段などの配置はHARDモードを弾くときに大変重要です。段の切り替えの時に、あくまで手首の形は変えないように気を付けてください。この段の切り替えもしっかり練習しておいてください。まずは右手左手同時に、慣れてきたら違う段への切り替えを行ってみましょう。段が切り替えられるようになったら例えば左手下段、右手上段でZXCV UIOPなど弾いてみてください。慣れたら段が異なる同時押しなどもやってみましょう。

 フォルテール譜面では、同フレーズ中に段が切り替わることはあまり無いので、そのような例外箇所を除けば殆どがこれらの動きの組み合わせで演奏することが可能です。ホームポジションでの指による演奏、並びに段の切り替えがフォルテール演奏の基本ですので、それをしっかりと身につけてください。


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