この章ではフォルテールを演奏するに当たっての心構えについて説明します。どれも特に初心者のうちから心がけて欲しいことですので、是非実践してみてください。今まで漠然と演奏していた方も世界が変わると思います。
まずは楽しむことが何より大切です。あまり根を詰めたり、逆にいい加減になったりせずに楽しい範囲での演奏を心がけましょう。
また、初心者にありがちなことですが難しそうな箇所でも諦めず、音符がたくさん流れてきたらとにかくたくさん弾いてください。最初はめちゃくちゃでもいいのです。弾こう!という意志さえあればやっているうちにだんだん分かってきます。
フォルテール演奏と、一般にいわれる画面の表示に合わせてキーを押すと音が出る類の遊戯(訳注:いわゆる音ゲーといわれるジャンルのゲーム)は似て非なるものです。また、キーボードそれ自体の操作技術(訳注:タッチタイプのこと)でもありません。あくまで気持ちの上では楽器の演奏だと思い、押したり叩いたりではなく弾くのだという気持ちで臨んでください。
従って、フォルテール演奏においてはノートがラインの上に来たら押す、というのはよい説明ではありません。あくまで曲に合わせて求められているフレーズを奏でることが目的です。ノートや演奏ラインはそのための補助であると考えてください。
同様に、ノートに書かれている文字もあくまで補助に過ぎません。ノートの配置の形と伴奏から弾くべきフレーズをイメージし、それを実現するように指を動かしましょう。
文字は初めての曲を弾くときや、確認のためにちょっと用いる程度にしてください。ノートに書いてある文字と同じキーを押す遊戯だと思っていたらフォルテール演奏の楽しみは半減してしまいます。
スコアや評価は、いい演奏が出来れば自然についてきます。従って最初から気にする必要は全くありません。まず何より聴いていて、弾いていて良いなと思える演奏を心がけてください。
特に、弾かない方がスコアが高くなるなどの理由で難しい箇所を無視したり、片手分を無視したりするような行為は絶対にしないで下さい(きちんと出来るようになるための練習としてなら構いません)。まずは多少ずれていてもいいので流れてくる音符を過不足無く聴いていて不自然にならないように弾けるようになることを心がけてください。
フォルテール曲の殆どには原曲が存在します。それを聴き込んで覚えることがいい演奏を行うための第一歩です。また、楽しい演奏にはその曲自体を好きになることが必要不可欠です。そのためにもどんどん聴き込みましょう。
また、原曲そのものではありませんがフォルテールには自動演奏の機能がついています。これをONにする事により正しい演奏を確認することが出来ますので、積極的に利用しましょう。なお、自動演奏を聴く際には(音は鳴りませんが)自分でもなぞって弾いてみることをお奨めします。
フォルテール譜面の基本はHARDモードです。一見30キーは難しいように感じるかもしれませんが、上記の文字を見ないということを実践していればちょっと弾いてみればこれが最も自然かつ楽しく演奏できるモードであることがすぐに理解できると思います。
NORMALはHARD譜面を無理やり1段に押し込めたものであり、なめらかさ、自然さに欠ける箇所があります。しかし初心者のための入門、並びに新曲の練習のためには有用ですので、練習用のモードだと思って利用してください。EASYモードは妙な癖がついてしまう可能性があるのでお奨めはしません。
幸い、今回協会より提供を受けることが出来た練習曲(訳注:パレドゥロワイアルに収録されている3曲)はどれもNORMALとHARDの差が殆ど無いので、是非HARDモードでプレイしてみてください。
フォルテールを演奏するときはなるべく背筋を伸ばし、まっすぐ前を見て演奏しましょう。特にキーボードはなるべく見ないようにしてください。そのためにもホームポジションと段の移動は見なくても出来るようにしっかり練習しましょう。文字を見ながら弾いてはならないのは既に説明したとおりです。
特に小型のキーボードモニタ一体型の携帯フォルテール(訳注:ノートPCのこと)を使用されている場合、キーボードとモニタの底辺が同じ高さにあるというのはフォルテール演奏にとってはモニタが低すぎます。是非外付けのキーボードを利用し、画面自体は10〜15cmほど持ち上げてプレイすることをお奨めします。
タイミングを取るために演奏ラインを見るのは重要なことですが、それだけをじっと眺めているのはあまりよくありません。なるべく画面全体に注意を払うようにしましょう。
特に、頻繁に画面右の方をチェックし、流れてくるノートをあらかじめ把握して次に弾くフレーズを確認するのは大変重要で、効果的です。また、時には演奏には関係のない上半分を眺める余裕も欲しいところです。
フォルテールも他の楽器の演奏と同じで、一朝一夕で出来るようになるものではありません。しかし、楽しく弾いていればいつか必ずいい演奏が出来るようになりますので、諦めずに頑張りましょう。この手のゲームが苦手だという人でも、続けていれば必ず出来るようになることはこれまでの多数の先輩達の例が証明していますので、安心してプレイし続けてください。
フォルテール演奏は一人でやるよりもみんなでやった方が楽しいです。もちろん個々の演奏は個人的なものですが、他の人に演奏を聴いて貰ったり、他の人の演奏を聴いたり、スコアを競い(争い、ではありません)合ったりするのは大変素晴らしいことで、上達の近道です。
当音楽院フォルテール科では、近くに共に演奏を楽しむ仲間がいない方のためにノーストリリアの協会への留学(訳注:ASHARD普及委員会への参加(^^;;))を斡旋していますので、興味のおありの方は研究科までお越し下さい。
ある程度うまくなり、納得のいく演奏が出来るようになってきたら、今度は自分に合ったキーボードや、奏でられる音のレベルで納得のいくものを目指してフォルテール自体の整備にも関心を払うようになると、よりいっそう長いことフォルテール演奏が楽しめるようになります。
しかし、これはあくまできちんと弾けるようになった後の話ですので、初心者のうちは心に留めておく程度にしましょう。但し、キーボードに関しては最初からかなり相性があるようですので、弾きやすいキーボードを求める努力は無駄ではないと思います。